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出店第九計画 ”先の戦”  | 美容道
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ケリー(中央)とオン(右端)とお店の前で

ケリーとの店舗購入の商談が決裂してしまったその夜は、日本に帰る予定になっていた知人と、合気道の先生のお宅へお邪魔する事になっていた。

そこで、朝のケリーとのいきさつを話すと、、、、、

『僕だったら、あきらめない。明日の朝まで交渉を続けるな。』

合気道の先生も

『なあ、お前、どっか ”買ってやるんだ” って気持ちを持ってなかったかい? もう一回自分を解ってもらう努力をしてみろよ。』


いったいどうしたらいいんだ?

あんな良い話を目の前で逃してしまった。

だいたい、僕は交渉になんか向いていないんだ。

ただ、明日まで待つだけなのかcoolcuts?

僕はそのまま一睡もできないで朝を迎えた。

そして朝方早く、いてもたってももいられずに、ケリーの美容院へ車を走らせた。

すると、すっかり壁は取り壊されていて、お店がとっても明るい雰囲気になっていた。

一生懸命ハンマーを振って壁を壊しているケリーの姿が浮かんで来て、僕は思わず白紙のペーパーを取り出し、

ケリーに手紙を書き始めた。

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Dear Kelly

僕はただただ、いきなり舞い込んで来たチャンスに有頂天になって、大切なものを手放さなきゃいけない君の気持ちを考えてもみなかった。

今朝、君のお店にやってきて、すっかり取り壊された壁をみた時、

(いったい君はどんな気持ちでこの壁を壊したんだろう?)って考えたんだ。

君だって、情熱を持って美容師の仕事をやってるからこそ、群衆から抜け出して、お店のオーナーになろうって考えた、そしてそれを実行に移したんだ。

その君の想いのいっぱい詰まっているこの大切な空間を手放す事は、決して容易な事では無いよね、きっと。

それなのに、づかづかと土足で君のお店に入って来て、まずは値段交渉をはじめた。

ほんとうに、思慮の無い事だと反省しているよ。

だけどね、ケリー、 解ってほしいんだ。

7年前に日本からアメリカに移住して来てね。

言葉もままならない状況で、一生懸命働いた。

最初のうちは本当に貧乏で、家族皆が食べていくのがやっとだったんだ。

今、僕が君からこのお店を譲りうけようと申し出ているお金は、君と同じようにこの仕事をしながら、一人一人のお客様からいただくチップを少しずつ貯めて作ったお金なんだ。

もし、君のお店を僕に売ってもらえて、このアメリカで一国一城の主になれるとしたら。 僕にとって、長年の夢が叶う瞬間なんだ。

だから、その事はきっと忘れない。 君に感謝し続けるよ。

だから、僕にチャンスをください。

君が作り上げて来たものの上に、また新たなものを積み上げていく。

それを僕に託してほしいんだ。

だから、もう一度僕にお店を譲る事を検討してみてくれないだろうか?

coolcuts

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その日のお昼前にケリーから連絡が入って来た。

『お店をあなたに買ってもらう事にしたわ。

結局もう一人の人には壁を崩した事も連絡はしていない。

値段も前回交渉した内容でいいから、私のこのお店を大切に引き継いでね。』


ありがとう。。。。。。。


アメリカに移住して、本当に感じる事がある。

世界中どこへ行っても、どんな文化やシステムで人が動いていたとしても。

最終的に全てを脱ぎ捨ててそこに存在するのは人の心だって事。


合気道の先生は、今回のこの僕の早朝のケリーに向けた手紙を

『先の戦』と呼んだ。

戦う前から勝ちを取るには、人の心を汲み取る作業から始める必要がある! という奴だ。

この世知が無いと言われるアメリカで、人と心が通じ合う瞬間が大好きだ。

その度に人間が大好きになるんだ。
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テーマ=美容のお仕事 - ジャンル=就職・お仕事

【2013/02/08 17:22】   トラックバック(0) | コメント(1) | Top↑






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コメント
coolcutsさんのケリーさんへの手紙、泣けました。
【2013/02/09 10:36】 URL | ロベルトねんきうセブン [ 編集] | page top↑

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