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さりな10歳の誕生日  | SARINA
Sarina10thBD.gif

あの日、朝早く起きたおかあさんが、僕に破水した事を告げた。

産婦人科へ電話すると、『すぐこちらへ来なさい。』と言われた。

朝8時すぎに病院へついて、陣痛の痛みにを堪えるおかあさんの側に付き添った。

その日はおあかさんが教えていた大学のテスト日だった。

テストの原版は出来上がっている。 それを他の先生にFAX して送って欲しい。


僕がおかあさんの言う通りにに段取りを済ませ部屋へ戻って来ると、さっきよりも強くなった痛みに、苦痛の表情だった。


(皆が等しく体験する事なのに、何故こんな苦痛を彼女達に与えるのだろう?)


僕は、おかあさんのその様相にさして気の利いた言葉もかけてやれず、ただ、ただ、側にいて彼女の手を握っていた。




朝9:30。



もう僕は出勤していなければならない時間だった。

仕事場へ電話を入れ、おかあさんの分娩を側で見届けたいという意思を告げた。


その要求は受け入れられなかった。


でも、おあかさんと自分の二人の人生の最大の節目に自分は彼女を一人だけにしておけないと思った。


『僕、ここに残ります!』


病気をしたって、未だに出勤日に一日たりとも仕事を休んだ事は無い。

でも妻が戦っている。

僕がいなくても子供は生まれるのは解っている。

でも、せめて側にいて励ましてやりたい。 

その押し問答をしばらく繰り返した後

電話を切って、部屋へ戻るともうだれもいなかった。

分娩室の厚い木製のドアの中から妻の悲痛な叫び声が聞こえて来た。

あまりの悲壮感にそれが彼女なのかどうかも解らない。


僕は扉を開こうとしたが鍵がかかっていた。 

看護婦さん?

誰もいなかった。


諦めて、扉に耳をすりつけて、中の様子に耳をこらした。



後から僕の父と母もやってきた。

『どうしたんね、あんた入れんかったん?』

『一足遅かった。』


妻は一人、先生の号令を聞きながら、看護婦さんに付き添われて戦っていた。

その声は、どんどん、どんどん、悲壮感を増して行く。


側にいてやりたい。


開かない扉の前でそう思っていた。


やがて、おかあさんの叫び声が止み、

そして さりな、君が助産婦さんに抱かれ、透明なガラスで透けて見える部屋へ姿を現した。


シーンとしていた。

10:15分

泣かない・・・・・・・・


僕たちは一様に、娘の命の危機を感じ取っていた。

しばらくの沈黙の後、第一声が聞こえた。

『オギャー』

ほんの短い間だったのだろうけど、ものすごく長い沈黙に感じた。


その後、分娩室から出て来たおかあさんは疲れきっていた。


『ありがとう』


って言った。


娘の無事を確認して職場へ向かう車の中、僕は嬉しくって涙が止まらなかった。




あれから、10年の歳月が流れた。。。。。。。



ずっと寝っ転がったままで、一人では食べる事も、トイレだって何一つ出来なかった娘が。

オヤジに英語の発音の先生になっている。

アメリカ各州から集まって来る強者を相手に、柔道の腕を競う。



どれもこれも、あの片手の手のひらから肘までの間に収まって、弱々しい声で泣いていた君を見て、想像もつかなかった事だけど。。。。



君はものすごい速度で成長する。


あと、8年か? 10年か?


父として君を面倒みさせてくれる期間は、どれくらい残っているのだろうか?


いずれにしても、君が五体満足で幸せでいてくれたらいい。


僕はそれを見届けたいだけ。 それだけだよさりな。


だから、ティーン・エイジャーになって生意気になっても、

喧嘩しながら仲良くしよう。


僕は怒っても、君を愛してる。


君は僕の事を理解に苦しむかもしれないが・・・・


君を嫌いになるなんてそりゃ無理な話さ。
 

最近君の事を好きだって言ってくれる男の子がいるようだけど、

そりゃ仕方の無い事だな。

でも、お父さんは少しだけ、ほんの少しだけ、

焼きもちを焼くかもしれない。


だからって、相手の男の子を嫌いだって訳じゃないんだ。

どんな時も、君の幸せを願っている。

それだけは確かだから、ご理解頂きたい。


では、今はまだ日本語は読めないさりなちゃん。

君が日本語を勉強すれば、父の気持ちがいっそう深く理解できるときが来るでしょう。


その日まで、この気持ちは封印。



お誕生日おめでとう。


そして、10年無事でありがとう。
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テーマ=女の子育児 - ジャンル=育児

【2011/07/05 23:55】   トラックバック(0) | コメント(0) | Top↑






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